ここのところの続きもので、ここ半年くらいのスパンで読んだり見たりした書籍、DVDなどなどから、ここでご紹介してもよかれ〜と思うものをご紹介しております。
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今回は、タイトルに書いた通り、「方法を記述する本・実践が難しいことを新造語などに頼らず説明してくれる本」でありまして、一読なんぢゃそりゃでありますが、詳しい所は、別に書いたのでぜひぜひどうぞというもの(関連記事のURLも他所の拙ブログにとびます。同じくはてなです)。
徒然草抜書 (講談社学術文庫)
著者: 小松英雄
出版社: 講談社
The Use of the Self
著者: F.M. Alexander
出版社: Orion
フレデリック・マティアス・アレクサンダー著
晩成書房 *1
関連記事:http://d.hatena.ne.jp/Look4Wieck/20091209/1260339523
いきなり、こぼれ話ですが、上の小松氏の著作について別所でやりとりしていたら、http://d.hatena.ne.jp/sergejO/20080526/1211729812でおすすめした著者の方も講義を受けられたことあるそうで、これがどんどん話が広がって、深まって、という見事な講義だったそうです。
さて、弊ブログをお読みの方ならいまさらですが、大抵の説明なり議論は、「誰それがこういっているから!そう思うよ。あんま理解してないけど。」だったり、その文章のいわんとしている内容云々でなく、とある名詞の争いごとだったり・・・。こう書いてしまうと、ばかな話ですが、「イタリアが良い!」「いいやオランダだよ!」なんて言い合って、いったいなにをどう比較しているのか、どんな与件に基づいているのか、推論の手段はどうなのか・・・なんてことが、ばかばかしいけど、結構多い。「ゴッホだよ」「ゴーギャンだよ」でも、「妹がいいよ」「姉だよ」でも、争いごとはなんでもかんでも段々なにをもって争ってるのかわけわかんなかったり・・・。
我々個々人が、「きちんとこれこれのデータを基に、こう判断して、こう結論していますよ」と把握していること、明確化できることが重要なのに、その為の方法は、存外闇の中。「おれの酒が飲めないのか?」といったら変ですが、「イタリアがダメか良いか、俺の意見をとるのかとらないのかどっちか選べ!」といった性急な選択をせまられることが多いものであります。でないとどっちもどっちだよな、とそれはそれで議論がなにものにもならない落としどころになったり。
上に挙げた著者および著作が偉いなぁと感心するのは、その方法論のところをきちっと説明して、皆々様もこうやってよりよい方向にそれぞれ向かい続けてくださいね!とや促していること。新造語つくって煙に巻くなんてこともないのです。妙に中途半端な説明で、「わたしはわかっちゃってるから」なんて虚勢もなし!くどくどくどくど、ごくごくありきたりな言葉を使って、当たり前に頭を使って、手足を動かして、それでいて殆どの読者にとって新しいである方法論を教えます。
難しいと感じる方もあるかも知れないですけど、それは自分が知らない新しさだから難しいのであって、記述自体は極めて簡明。自分自身、日々駄文を連ねていて、大変反省させられます。
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さて、新しいといっても、大概の人は、それぞれ自分の専門や得意分野でならば実践して、成果をあげていることとも思うのです。そんなやり方を、広く日常の活動ぜーーんぶに当てはめるにはどうするか。広く日常の活動に当てはめることが重要だよ!にとどまらず、その方法を実践的に教えてくれる見事な書物。それで哲学のように抽象にならず、読後すぐにこうしよう!と動き始められる内容。
強いてこんなジャンルですと言ってみれば、前者は書き言葉であろうと、文章であろうとあらゆる記録を前にして考える時に役立つ一般的方法を、後者はどんなことであろうと行動する際に、自分の因習に気付き、それにとらわれない為にどうすべきかという一般的方法を示します。これがじっくり読んでみると、さまざまなことに応用できることであります。
ということで、こんな拙文だけ読むと何がなんだかですが、ぜひ騙されてみてくださいませ!
*1:上のThe Use of Selfの邦訳。邦訳は良かったです。一般的な言葉の表現では間違いに導かれる・・・という話も関連しているので、英語と日本語の両方で読んであれこれ考えるのがベストと思います。