最近のもろもろ:恋するtrente ans, モザイク・カルテットなどなど

1) 30♀の話を聞いてくる
先日ピアノのレッスンの帰り、ここ1〜2年ほど鬱ってた♀友達にtelして呑んで来た。すっかり元気で精気が増している。なんにせよ、あ〜た鬱が治ってよかったねーという保護者的立場だ。なんだかんだ8年くらい知っているので、20前半の頃にくらべたら随分変わったと思う。

「あたし、もうちょー元気だから」
「あの時はね、、、悪霊に取り憑かれているとか言ってたからね〜」
「はは!(笑)」
「まさか、面と向かって、頭狂ってるとも言えないし、困ってましたよ〜」

でもって、恋バナとなる。好きな♂ができたらしい。友達の紹介で一回あった切りとのこと。「こないだはじめて電話になって、今度あうんだ〜」の段階。

「ほ〜、あたしは一目惚れなんてしないって言ってたのにねーー」
「一目惚れじゃないよ」
「へ・・・・?」
「だって違うよね?」
「一回しかあってないだろ?」
「うん」
「その前知ってた訳じゃないだろ?」
「そーだよ」
「なら、一目惚れだろ?」
「一目じゃないよ。その日一日出歩いて、家帰ってからだし。」
「・・・・・ほんとに一目じゃなくてもいーんじゃないか? 2、3時間でも、一日でも一目ぼれでいいような、、、」
実際、どうなんでしょう?
そして、その記念すべき第一回デートコースについて、あーだこーだの論議。水族館が楽しくない同志を見つけたのはgood! 品川いっても、ペンギンしかみるもんないんだよね、、、ペンギンなら一時間見続けても飽きないけれど。。。私としては、A) 公園でキャッチボール B) アイススケート C) お台場有明近辺なら船に乗ることを薦める。
しかし!! 二時間もそんな議論をした挙げ句!!
「もう一人気になる人が・・・」
一目惚れじゃないっつーか、それだと惚れてないだろ!と思いました。よくわかんないけど、ガンバレ!


2) 王子ホールにモザイク・カルテット聴いて来たよ 2008年10月30日
良かったよ!メンバーは、アーノンクールの下でコンツェントゥス・ムジクスやってたり、サヴァールのヒスペリオンXXのメンバーだったりしていた方々で、いわゆる古楽系。
http://www.ojihall.jp/concert/lineup/2008/20081030.htm をご参照。

会場は、いつも通り、若くない世代(失礼!)が多かったので、敢えて軽く書きますね。(←むしろ、若い人がいこーよーキャンペーン)

まともまとも!引き合いにだしては悪いのだけど、先日のハーゲンSQが前半で古楽系演奏したものは、やっぱり何かおかしかったんだ・・・と安心する。今日の演奏なら、ふつーに満足。5,000円以上のチケットなら、このくらいで頼むよ!って感じ。

曲目は、もちろん弦楽四重奏ばかりで
ハイドン : SQ No.35 Hob III-35
メンデルスゾーン : SQ No.1 Op.12
(休憩を挿んで)
シューベルト : SQ No.13 D804 Rosamunde
アンコールは、ハイドンのSQからで、忘れました。

メンデルスゾーンの曲は結構曲者で、古典的均整なんて言うよりは、もっと主情的かと。CDは幾種類か持って何年も聴いてはいるのだけれど、なんだか形がとれない。特に第一楽章。。。第四楽章は、自分がちゃんと把握してないので、これでフィナーレに行くかと思ったら、「まだ続くよ、、、」でちょっと疲れました(演奏のせいにもしたいけど!)。

今日一番良いな〜と感じたのは、最初のハイドン弦楽四重奏曲第35番の第三楽章アダージョ。彼らの演奏スタイルにもぴったりと思いました。

ピアニストのリパッティがいいことを言っていて、

Look4Wieck.comの記事:伝記『ディヌ・リパッティ 伝説のピアニスト − 夭逝の生涯と音楽』−優しくて強いということ

その引用元の書籍は、ご興味あれば上をご覧くださいませっ

それで

家を建てる時、まずコンクリートで土台を作るように、原典を入念に読み、その上で必要な、例えば精神の高揚、自主性、自由な多様な感性といったものを付け加えるべきです。
名手といわれる演奏者の大半はしかし、上に挙げたこの二つの基本をうまく一つにして演奏してはいないようです。確かに楽譜通りに正確には弾いていますが、自分らしさが出ていません(このような演奏を聴いた人は、ときにはテクニックの素晴らしさに驚くことはあっても、決して幸せな気分になれません)。あるいは作曲者の指示を見逃して勝手に解釈し、作曲者の本当の意図を軽視してしまっています。そればかりか演奏に際し、精神の高揚、自主性や多用な感情といったものを間違えて表現してしまい、作品を取り返しのつかないほどにねじ曲げてしまっています。つまりこのような演奏は、そもそもの出発点から間違っているのです。

という話。

これで言うならば、前者の正確さや研究成果がまさる演奏会だったかな、、、と感じました。ただ、自分は古楽の弾き方に慣れてないから、べたべたロマン派でないと物足りないだけかも知れません。ここら辺はもっと実演を聴こうと思っているので、判断留保。

いやらしい言い方ですが、料金の分は響きが楽しめたのは確か。この団体なら、CD買って見てもいいな、、、というところは確認できました(現役SQには、すっごく慎重で、古い物ばかり漁っています・・・)。

モザイク・カルテットは、Look4Wieck.comの検索用語リスト(開いた頁の情報に、Amazon.co.jpでの検索を便利にする独自の検索窓口あり!)にも入っているので、ぜひご利用を!


3)くぁるてっとの話が出たので、おすすめ名盤です。
室内楽は面白いのに、いまいち一般的には浸透してない分野。*1でも、独奏曲だけでは味わえない、合奏の面白さが、管弦楽にはないシンプルさで提出されている面白い分野です。
聴かないと惜しいことであります。。。あるのデス!!
それでも、ヴァイオリニストやピアニストの有名な独奏者が参加したヴァイオリン・ソナタやピアノ・トリオなどは聴かれることも多いのですが、弦楽四重奏曲は結構日陰であります、、、もったいない! リリース状況も輸入盤を含めていまいちなのです。
そこで!弦楽四重奏曲復旧委員会となって、ほんのちょっとだけご紹介です。

ブダペスト弦楽四重奏団によるブラームスの室内楽曲集四枚組の商品写真最近のリリースですと、ひっさびさに再発売になったブダペスト弦楽四重奏団演奏 ブラームス:室内楽曲集(4枚組)は、小生第一のおすすめです。
この中でも、ピアノ五重奏曲は結構有名で、レコードも多く、演奏会のプログラムにも入りやすいもの。ここでのブダペストSQとルドルフ・ゼルキンも大変な名演。ちょっと雑という人もありますが、もう長年のメンバーで、気心しれあっているという感じで、ちょっとしたズレは、むしろ、「のびのびといい感じ」と私は楽しんでいます。
しかし!!なんといっても二曲の弦楽五重奏曲が曲も演奏も素晴らしい!秋晴れの午後、決して暖まらない空気の中で、透明な陽光を浴びて、黄金色に輝く銀杏の葉・・・そんなものが見えてきそうな名曲です。←のだめの夢色クラシック?
彼らの演奏から感じる躍動感・生命力とでも言ったものは、いまはもう聴けない類いのものかな、、、と。

ヴェラー弦楽四重奏団のDecca録音集(8枚組)の商品写真室内楽というと、ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集から入ってもいいかと思いますが、本日はヴェラー弦楽四重奏団のDecca録音集(8枚組)をおすすめ致します。
曲目は、ハイドンモーツァルトベートーヴェンブラームスアルバン・ベルクショスタコーヴィチのそれぞれの弦楽四重奏曲から、一曲〜数曲取り集めたもの。古典派から現代物まであるので、「とりあえずどんな世界か見てみたい」にはもってこいです。
しかも、演奏が良過ぎます。活動当時はともかく、今となっては話題に出るのもどっちかと言えばかなり稀な団体にも関わらず、「素晴らしい!」の一言。このセットが発売されてすぐに店頭に見かけて、なんだか写真に惹かれてジャケ買いしてしまいましたが(←なぜ!?)、とんでもない宝になりました。
バランスがよくって、例えば上のブダペストSQのように推進力の迫力というのではないですが、こちらはこちらで、ほんとに音楽が生きていると感じさせます。
この方たちが、上のどれか一人の作曲家で良いから、弦楽四重奏曲全集など出していたら、、、とほんとに惜しまれます。ウィーン・フィルのメンバーを中心に作ったSQと言って良いのかな、、、この点、スリーブノートうろ覚えですみません。ハイドンからブラームスまでなら兎も角、ベルクやショスタコーヴィチまで、こんなに名演奏、、、これも驚き。。。「現代ものが苦手」なんて仰有る方もすっかり感心するのでは?ベルクは、ラ・サールの名録音より楽しめますよ!(←きっと!)
うれしいことにシューベルトの弦楽五重奏曲も収録。この曲の名盤に数えるべきものと思います。この曲自体、晩年のシューベルトによる、ロマン派の室内楽の屈指の名曲と言って良いもの。シューベルトの弦楽五重奏曲には、カザルスとヴェーグSQによる、血が吹き出るようなこれまた凄い熱いライブ録音があるのですが、このヴェラーSQの録音は、言ってみれば対極の位置にあって、言うなれば典雅。典雅で、こんなにバランスが良くて、繊細な演奏なのに、でも「典雅」だとか、「奇麗」なんて弱々しい言葉で言いたくないとも思えます、、、なんなんでしょう。上のリパッティの伝記紹介に“優しくて強い”と書きましたが、これは、そういう曲でもあって、ヴェラーSQもそういう演奏をしてくれたんだな、、、と。
締めくくりにシューベルトの言葉から、

他人の苦しみを理解するものは誰もいないし、他人の喜びを理解するものだって一人もいない!

人はいつも、一緒に歩いていると信じているが、実は、ただ並んであゆんで居るだけだ。

このことを認識するものには、おお、なんという苦しみが待っていることだろう!
200年ほど前に、こんな曲を独りで書いていた人間が居たのに、ちょっとやそっとで「寂しい」なんて言ってられません。

*1:前、横山幸雄さんとその仲間たちな室内楽に行ったら、よこのかわいらしいおばさま方が、「あたし、室内楽って聴かないんだけど、、、」「あたしも〜」「あら、横山さん、なんか太っちゃったの?ぷっくらして」「かわいーわねー、矢部さんも♪」と話していて、ちょうなごみました。呑気がいいです。