中学生からかな?2008年 夏休み用人文思想系の書籍案内です〜 1of3

2016某日注:
いまの時点で見直して、そんなに悪く無いけれど、
この二冊↓は抜きます。
 ●ヘーゲル法哲学講義』
 ●末木 文美士『思想としての仏教入門』
また、
 ●ベルグソンベルクソン講義録1 心理学講義・形而上学講義』
 ●木田元『反哲学史
は、哲学史をざっと知るために細部を気にせずぱぱっと読むか、ないしは、後回しにした方がいいでしょう・・・西洋哲学って言葉に囚われ過ぎていびつ、という想いが強くなっております。

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代わりに入れるのが、まずもってこの方面をやるに限ります。ほんと急がば回れ

弓と禅 の商品写真  弓と禅
著者: オイゲン・ヘリゲル
出版社: 福村出版

不動智神妙録 (現代人の古典シリーズ 7) の商品写真  不動智神妙録 (現代人の古典シリーズ 7)
著作: 沢庵 宗彭
出版社: 徳間書店

他に挙げたもの、ピュロン主義でも、啓蒙主義でも、ベイトソンブルデューでも、ポストモダン批判でも、根幹はこの二冊でやってる問題です。こっちを攻めないから上手く言えずにもやもやしてしまい、ライル『心の概念』や創発性のポランニーのような書き方になってしまう。

こちら方面に関するこのブログの記事です。拙いですが、最低限の注意書きだけ最近ほどこしました。
  • http://d.hatena.ne.jp/sergejO/20100113/1263364030
  • http://d.hatena.ne.jp/sergejO/20090208/1234027644
  • http://d.hatena.ne.jp/sergejO/20090501/1241116080



  • その他のものとして、上の手助けになりそうなもの。上の二つをやって、実践している中で、疑問がわいたり、アイディアが出たときに読むというくらいが良し。文章読んで判るのは、それなりに準備ができたときです。その準備を上の、禅方面がうまく扱ってます。

    部分と全体―私の生涯の偉大な出会いと対話 の商品写真  部分と全体―私の生涯の偉大な出会いと対話
    著者: W.K. ハイゼンベルク
    出版社: みすず書房

    感覚の分析 〈新装版〉 (叢書・ウニベルシタス) の商品写真  感覚の分析 〈新装版〉 (叢書・ウニベルシタス)
    著者: エルンスト・マッハ
    出版社: 法政大学出版局
    翻訳がこなれてない部分がところどころあって読みにくい。光文社さんでも新訳出して!

    習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法 の商品写真  習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法
    著者: ジョッシュ・ウェイツキン
    出版社: みすず書房

    大乗起信論 (佛典講座) の商品写真  大乗起信論 (佛典講座)
    訳・解説: 平川彰
    出版社: 大蔵出版

    唯識の読み方―凡夫が凡夫に呼びかける唯識 の商品写真  唯識の読み方―凡夫が凡夫に呼びかける唯識
    著: 太田 久紀
    出版社: 大法輪閣

    創造への飛躍 (講談社学術文庫) の商品写真  創造への飛躍 (講談社学術文庫)
    著者: 湯川 秀樹
    出版社: 講談社

    現代精神医学批判 の商品写真  現代精神医学批判
    著者: 計見 一雄
    出版社: 平凡社



    あまり挙げてもあれですし、本を読んで文章で伝わるのは準備のできている人だけですから、ひとまずこれまで・・・
    ジョッシュ・ウェイツキンがやっているように、肉体的な実践とそれを意識・言葉でどう捉えるかの練習が良いと思う。
    そうそう実践の良い例です。忘れてました。ついつい本ばかり挙げてしまう。

    ナショナル ジオグラフィック ザ・カリスマ ドッグトレーナー シーザー・ミランの愛犬レスキュー [DVD] の商品写真  ナショナル ジオグラフィック ザ・カリスマ ドッグトレーナー シーザー・ミランの愛犬レスキュー [DVD]
    出演: シーザー・ミランほか
    出版社: 日経ナショナルジオグラフィック



    中学生からかな?ないしは から!として、2008年 夏休み用の名作案内しております。

    中学生からかな?2008年 夏休み用の割と古典文学名作案内です〜 1 of 2
    http://d.hatena.ne.jp/sergejO/20080727/1217098632(ホメロスギリシャ神話、俳句、漱石、鴎外、ドストエフスキー)
    中学生からかな?2008年 夏休み用の割と古典文学名作案内です〜 2 of 2
    http://d.hatena.ne.jp/sergejO/20080727/1217130339(イヴリン・ウォートーマス・マン、ロレンス・スターン、スウィフトその他)
    中学生から!2008年 夏休み用その他の書籍案内です〜
    http://d.hatena.ne.jp/sergejO/20080728/1217214667(ハインラインヒッチコック宮崎駿、ピアニストのリヒテル)

    では本日は人文思想関連で。

    これは割と現実的に意味合いがあるので、趣味の読書の範疇とはちょっと違うかも。

    人文思想というのは、まー哲学関連というものですが、幅が広がって本屋の本棚もいろいろな書き方なので、私はここではそんな言い方にしました。

    これらは、なんだかんだいって、我々の生活の基盤になっているものです。ちょっと前に書きましたが、西欧の啓蒙思想辺りは、今現在の社会生活の基盤となったもろもろの発想を用意したわけですし。その一つは例えば、自由 − 闇雲にではなく、どこまで自由にしてよいか− の話で、これが思想の自由、政治の自由、経済の自由と時代を経て、問題とする分野が変わったのですが、つまるところ自由のまわりをまわってるから根っこは一緒。*1となれば、ネット社会にもなんかつながりあるかなーですよね。また、現在どうも、啓蒙主義的な理想の火も消えて、なんだか中世的な感じもしつつあるので、ここらで一つ思い出しましょうやと。

    私も単なる読書好きで、経済学部ですから、別に専門的にそっちの話が分かる訳でもないので、

    • これはおもしろかったよ!もし、そう感じたら、他に読む気になるかもっ
    • 特に予備知識なくたのしめそうだよ
    • 丁寧に読めば文意は通じるものでーす

    というところを経験で選びました。いままでこっち方面あまり読まなかった方向けくらいなものであります。

    では早速参りましょう。

    最初にどの当たり読んだらいいのかな〜って、自分の興味が向かうところを知るにも概論から入るのも悪かない。といって、ちまたの入門書は今ひとつかな〜と思うので・・・

     

    ベルグソン『ベルクソン講義録1 心理学講義・形而上学講義』

    ベルグソン『ベルクソン講義録1 心理学講義・形而上学講義』の商品写真ベルグソン流に哲学史していますが、目配りはいいし、説明も別に偏ったものとは思わないです。入門書を自分の発想や用語で説明してしまうものも多いですが、そこはかなり中立的な立場で解説します。こんな言葉あんな言葉ばかり出て来て、無味乾燥でよくわからない・・・ということもなし。あまり細かいとこわけいらないで「ここら辺を押さえておきましょう」という判断もいい感じ!非常にクリアーにわかりやすいです。

    「わっかりやすいねー」と言いながら、結構すぱっとよんでしまいました。取りあえず、過去にどんな人がどんな業績を作ったか知るのにほんとお薦めです。

    この講義録全四巻ですが、どれもいいのですが、第一巻だけでも概説として十分とも言えるでしょうし、代表しておきます。

    ここに出て来た名前を参考に、興味がある人を読み進めるのが一つの手でしょう。

     

    木田元『反哲学史』

    木田元『反哲学史』の商品写真これもほんとにいけてる入門書。これ最初に読んでいたら随分楽だったなーと思います。冒頭で、日本における哲学は、ヨーロッパからそれを輸入した頃のドイツの新カント派解釈に引きずられて、結構、判りにくいことになっちゃっているんですというお話があって、「なんだそうだったの・・・!!!」となりました。あぁ!!!

    ここで木田元は、ソクラテスあたりからニーチェを超えて20世紀までを描いています。

    特色は、さすがハイデガー研究者というべきでしょうか、ギリシャ&ローマからの語義の変化を説明に加えていること!これがほんとに有り難い。これは哲学科には当たり前の話なのか知りませんが、それがないとさっぱり判らんちゅーもんではないでしょうか?

    私は中学生くらいから、この本に出会うまでの長い間、方々でちょこちょこそんな知識にたまたまでっくわしたり、自分で「そういうことかなぁ」と類推していたんですが、この本はそれらがズバズバ書いてあってあり難いものでしたし、当然、自分の知らないことも山ほどあって有り難かった。

    自然だ、主体だ、客体だ、実証だ、、、そんな割と普通な言葉でも、「あーなんだそういうことでしたか・・・」と。こういうのは、哲学書の範囲を超えても使われる概念ですし、ありがたいことです。

    また、当時の政治的状況とか、他の学問との影響もあって、抽象的な議論にも実はかなり現実的な要請が拘わることにも目配りしています。「だって、そう考えないと、こうは行動できないじゃない?」ってものですが、こういうことを教えてくれるのも有り難い。

    これは昔話でもなくて、われわれが現代生きている中でもそんな前提がままあるものです。経済学者のケインズが、実のところ我々は過去の思想に囚われているのだよと言っていますが、そんなもんです。*2

    木田氏の本は、他もお薦めですが、次には『マッハとニーチェ』がお薦め、、、ですが、いま在庫切れでアマゾンでは中古価格高いです。普通の古書店なら、もっと安く手に入るかしら?まだまだ興味があれば、『反哲学史』の続編である『現代の哲学』この辺りでしょうか?入門書ならこのくらいのレベル行ってよ!という好事例。

    次はいきなりカント行きます。

     

    カント『啓蒙とは何か—他四篇』

    カント『啓蒙とは何か—他四篇』の商品写真タイトルになっている『啓蒙とは何か』が実にいけてます。

    短い論文ですが、ごく簡単にいいますと、ここでいわゆる公と私をカントはひっくり返します。だって、あなた公っていうけど、公の立場だからこそ言えないってことが常じゃない?だから、勤め先みたいないわゆる公を超えて、私としての活動においてもっと広い公で考えないと、いい発想なんてでないんじゃないの?世の中よくならないんじゃないの?そうなると私の方が、よっぽど公だよねー

    という話。

    我々一人一人が党派制を超えて考えて行動することもしないとまずいよねとゆーこと。だからって、アナーキーとか、いきなり自分だけオープンになってもまずいのは言うまでもない。そこら辺のバランスは難しいなんてのは、言わずもがなの話です。*3

    日本みたいに、名刺と本人が100%シンクロしてしまう社会にはもっと広まっていい考えと思います。&孟子にある昔「恒産無くして、恒心無し」とも通じさせて考え合わせるべきかなと。所詮、お金か暴力という力を持っていないと発言なんてできません。それを持った上でそれは使わずに、なるべく公平で合理的にやるのが筋で、啓蒙主義なんて本来そこは大前提でしょ?

    カントにはいわゆる三批判があって、それぞれ面白いし、難解と言わずに丁寧に読めば実り多いものと思いますが、文章固いのでめんどくさいので、せめてこの『啓蒙とは何か』だけはと思います。

     

    ヘーゲル『法哲学講義』

    ヘーゲル『法哲学講義』の商品写真分厚いですが、面白いですよ!

    ヘーゲルというと、「あんたそんなの、他人が読んでもわからないでしょ!」という書き方をしたはた迷惑な人ですが、訳者の長谷川氏の尽力を差し引いても、講義だから所謂論文系な本とは違うということを差し引いても、「この頃のヘーゲルになると、いろいろ抽象的に考えてんじゃまずいって、日常を考えるのよ、これはほんと良く格闘したなーって感じで、感動的だよ。カントよりこっち薦めるな〜」という話。

    って、これは金ちゃん id:simpleAの7〜8年?ばかり前の発言です。『精神現象学』でなく、こっちがいーよーというのが慧眼だろうし、彼らしいところかと。*4

    結構、長くなったので続きはまた次回〜!

    *1:そりゃ具体的な施策になれば異なるのですが。

    *2:経済学だってそうでしょう?市場に任せればなんだってうまく行くんだ!に呼応して 、「なにが起きても自己責任」というモラル(?)の喧伝。誰が市場コントロールしているのという話が欠けているのは、そこを見せると都合悪いからで、誰しも同じくらい知識を有していて、同じくらいの力を持っている同等の経済主体というプレイヤーというのが、実は見えない仮定だったり。そういうカラクリをお見せするとこれまた都合悪いので、なんでもかんでも“自己責任”としておこ〜みたいなこれは悪い使い方の例と思いますが、こんなやり方が、いいようにも悪いようにもつかわれる。

    *3:関係ない話にもなりますが、いきなり「私は国境持ちません!」と言ったって、他所の国がそれをいいことに奪うだけですから、、、

    *4:個人的な知り合いなので、あんまり言わないようにしていますが、金ちゃんの大学時代から、名古屋に居たころくらい迄は、経済学と哲学系な話、ついでにもっとナイーヴな映画だ小説だの、最近読書案内している話を散々していたものです。そんな話ばっかりしていたくらい。私にとって、彼の人となりはそっちから出来上がっていて、そんな人が実践を考えてるって感じ?