ガンダム思い出ばなし

最近、衛星放送でガンダムの再放送しています。これをファースト・ガンダムと呼ぶのに違和感があるのは、やはり当時小学校3、4年から中学一、二年くらいまでの熱心に見ていた世代でしょうか。「派生物の方にZとか、SEEDとか、00とつければいいのだから、ガンダムガンダムだ」とそんな感じです。

いまだにがんだむだんだむよくやるな・・・と思いつつ、当時のごくごく一般的な一児童の体験談をばひとつ。

ガンダム30thアニバーサリーコレクション 機動戦士ガンダムI[2010年7月23日までの期間限定生産] [DVD] の商品写真  ガンダム30thアニバーサリーコレクション 機動戦士ガンダムI[2010年7月23日までの期間限定生産] [DVD]
監督: 富野由悠季 出演: 古谷 徹, 池田秀一ほか
販売元: バンダイビジュアル

衛星放送で番組宣伝も盛んにやってますが、司会のお一方が「自分は小学校2年だったから、細かい話や意味はさっぱり判らなかったけど」とおっしゃていたのはさもありなん。

わたし(1972年生まれ)は、小学校三・四年ですが、このくらいの年がストーリーや演出の機微も一応楽しめた一番下の年代だったのかな〜と。小学生なんて一年二年で随分理解の仕方も変わるものです。*1

それは兎も角、当時の思い出ばなしを一つ書いてみようかなと。あくまで私の体験談なので、「まぁそんな感じだったなぁ、、、でも自分たちはこうだったなぁ」と思い出すきっかけにでもなれば。ちなみに処は、首都圏の某県。

初回の放送は1979年でしたが、全然話題にならなかったのはまったくその通りで、わたしも初回の存在すら知りませんでしたし、クラスで話題になった記憶もなし。やっぱり、1981年〜1982年の映画化とその前後の再放送で火がついたのでしょう。そのブームがどこから来たのかは、当時の男子向け雑誌と言うと、コロコロコミック、週間TVくん、学研の小学○年生や科学などがメジャーだったと思いますが、それらの媒体によったというより、クラスの誰かが見て、それでいつの間にか広がったって感じでは。ここのところ、ほんとに記憶にないです。

ちなみに相前後して流行っていたものがスーパーカーとか、ゴジラその他の怪獣映画。怪獣消しゴムで相撲とか。こういうブームはある程度地域差もあるし、何回も繰り返したから、正確にいついつというと、人によってばらつきがあるかも。*2

ガンダムの映画のパンフレットを見ると、「大学生や大人も熱中させるガンダム」なんてことが特記されていたくらいで、当時は「アニメは小学生まで」という不文律がもっと強かった。映画館でもやはり子供とその親で埋め尽くされていたような。都心の映画館はきっと違ったと思います。10年ほど前くらいからでしょうか、いわゆるTVのゴールデンタイムにアニメ特集なんか放送するようになって、20代くらいの人が公の場でProアニメの立場できゃーきゃーいうようになった時は、「なんでまた、、、子供向けを」と奇異に感じたくらいです。

どのくらい熱中していたかと言うと、私のクラスだけのことかも知れませんが、再放送中、クラスの男子のほぼ全員がもう翌日は前日放送回の話で持ち切り。「シャアつえーーー、すげーーー」「あれ見た?超はえーーー」「ジムやられたとこ、かっけー」とかそういうレベルです。で、確かに大人っぽい話でセリフの意味がわからないこともあったけれど、そこはみんなで話しておぎなったので、隈無く理解していたと思います。

ついでに言うと、当時はTVゲームもろくなものがなかったし、ゲームセンターは小学校の少なくとも低学年、中学年が立ち寄るとこでもない*3。放課後というとクラスのみんなで神社で野球なんて感じ(40人学級だと、男は20人。10人ずつで、2チームできるから野球です。クラスみんなで遊ぶ。)。少人数で動くなら、立ち読み自由だったから漫画屋で立ち読みとか、ざりがに釣り、どろけい等々。。。みんなで遊んでいるから、いわゆるいじめなんてなかったですね。多少、いじわるな子が居ても、「誰々の敵!」って正義派が立ち向かうほどでした。私のクラスが、例外的にいい環境だったのかも知れません。とは言え、一般に当時の子供ってもっと素朴だったような。*4 *5

ガンプラもあっという間に流行って、流行った当初は地元で一番大きい近所のスーパーのおもちゃ売り場でしか入荷しておらず、毎週日曜日に開店前から並んで買いに行きました。いまでも覚えているのですが、私が最初に買ったガンプラは、

1/1200 量産型ムサイ (機動戦士ガンダム) の商品写真  1/1200 量産型ムサイ (機動戦士ガンダム)
販売元: バンダイ

ムサイなんですよぉ!!!えぇそうなんです。

ガンプラをスーパー、そう西友だ、争う相手は高学年だか中学生だかで、足は早いは、予算はあるはで、シャアザクとかなんとかみんな買ってしまったので、残ったのはムサイかホワイトベース。。。私はジオン軍派なので(連邦のプラモデルは一個も買ってない!)、迷わずムサイを選びました。「シャアザク欲しかったのに・・・」と残念無念ですけど、やっぱり手に入れた喜びもそれなりに大きかったのを覚えてます。

多分、生産量が増したのか、地元の零細おもちゃ屋にも入荷が増えて、何時の頃からか結構買いやすくなり、また友人の誰かれともなく「どこそこが今度入荷するって!」と噂を聞きつけ、それで着々と手に入れて行きました。

当時としては、リアルな設定で、セリフも大人びて・・・等々さんざん語られてますが、そこら辺をもっと印象的に話しますと・・・、私なんぞ、年が年(小学校3、4年)だったので、なんというか迫真のドラマです。シャアザクの強さっていったらなかった・・・。戦慄と言ったら大袈裟ですけど、私くらいの連中がシャアだシャアだっていうのは、もうリアルにすごい存在にも思えたからでしょう。「すっげー早い!」「すっげー強い!」。アムロの乗るガンダムが初めてシャアザクと対戦した時など、アムロの恐怖感そのものを感じたといっても大袈裟でないくらい。

その後の、ランバ・ラルのグフ登場の際も、ホワイトベースはもう終わりだろうって思いました(ジオン軍が好きなのに、ストーリーとしては連邦派の肩入れなんで妙なのですが)。しばらく干されていたシャアがズゴックで出て来たときなんて、!!!としか言い様がない。しかも、ほんとにもうこの人、万能じゃないかと感じたほどでありました。ストーリーの複雑さというのは確かに面白い要素でしたが、一シーン一シーンをリアルに楽しめたって感じ。ザクなんて重いんですよ、ほんとに重かった。それだけで、もう「こんなのになんで勝てるの〜」とすっかり没入してしまう。ギレンの演説を聞き入る、ホワイトベースの乗組員の反感やびみょうな虚無感なんてものも実にリアルに感じたものです。

ザクの歩く戦車といった重厚感は革新的だったのです。だから、ドムなんてもうとんでもなくすごかったのですが、そのデザインの大元がスターウォーズの帝国兵から来たのかな〜とは、私に限らず数名は思って居て、そんな話も仲間内でしました。あんまりどれがオリジナルと追求する気もないし、そう思わせた上でも、ザクは実に魅力的でした。当時はスターウォーズの帝国の逆襲まで公開されていて、

スター・ウォーズ トリロジー DVD-BOX の商品写真  スター・ウォーズ トリロジー DVD-BOX
監督: ジョージ・ルーカス 出演: マーク・ハミル, ハリソン・フォード, キャリー・フィッシャーほか
販売元: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

それがどこまで小学生に浸透していたかというと、ガンダムほどではなかったはず。わたしは一作目から親に連れて行かれて、絵日記に書いたほどのめりこんでましたけど、少数派とまで言わないし、ライトセーバーは誰でも知っていたのだし、ああいう武器はスターウォーズがオリジナルとはみんな知っていたから、流行ってはいた。パイロットが使うスコープもスターウォーズのXファイターから来てますよね。

洋物映画嗜好の小学生なんて、まぁハイカラな方ではないでしょうか。だから、スターウォーズの真似だからどうという論争は子どもの間ではなかった。

そうそう、ガンダムのキャラクターデザインというと安彦良和さんですが、映画のパンフレットについているイラスト画など、ほれぼれと眺めてました。ちなみにヒロインに関しては、わたしはマチルダさん派。魔女っ子メグちゃん以来のなんとなくロシア系な赤毛コンプレックスだった私の嗜好を、さらに強化したのはマチルダさんです。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN (1) (カドカワコミックス・エース) の商品写真  機動戦士ガンダム THE ORIGIN (1) (カドカワコミックス・エース)
安彦良和
出版社: 角川書店

マニア風なことはなくて、自然にのめりこむ感じ。大体当時は怪獣ブームは怪獣ブームで、怪獣図鑑なんて熟読したり、スーパーカースーパーカースーパーカー大百科を読んだり、ドラえもん大百科なんてものもありました。そんなこんなでモビルスーツの名前はおろか、その型式も自然に覚えてしまいます。10歳ほど若い世代が、エヴァンゲリオンの使途の名前を全部覚えているのに、「よく覚えられるねー」と驚きですが、まぁ似た様なものでしょう。きっとその世代に、使途なんて化け物が子供心にすっごいリアルでなまめかしいもので、「こんなの居たらどうすんのーー!?」ってことなのでは?

ガンダム30thアニバーサリーコレクション 機動戦士ガンダムII 哀・戦士編 [2010年7月23日までの期間限定生産] [DVD] の商品写真  ガンダム30thアニバーサリーコレクション 機動戦士ガンダムII 哀・戦士編 [2010年7月23日までの期間限定生産] [DVD]
監督: 富野由悠季 出演: 古谷 徹, 池田秀一ほか
販売元: バンダイビジュアル

例えば、映画版の第二作目『哀・戦士』のラストの山場は、ジオン軍によるジャブロー攻略ですが、映画版で新カットで追加されたものに、例えば、パラシュートで降下したグフがジャングルの中でバズーカを構えるシーンがありますが、これなども友人同士で、「あれ、すっげーかっこいーよねー!!グフがバズーカだよ!」って会話になったものです。これもエヴァンゲリオンの新劇場版で、使途のデザインがリニューアルされているのに「あそこ変わってんだよ〜!!」と延々と話してしまう世代の方々は、想像しやすいことでしょう。

そうそう、ガンダムブームに女子が加わっていたことは記憶にはまったくないです。けど、いまさら昔話で、「わたしも見てた!」なんて方はやっぱりいらっしゃいます。当時の女の子ではなにが流行っていたのか、これがさっぱり覚えてない。

多分、あの頃は、いまよりも男女が別れて対立していたと思うのです。喧嘩とかでなく、遊びや趣味趣向において。お互い誰君誰ちゃんが、好きだ嫌いはあっても、よく知らなかったですよね、互いを。

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じゃあガンダムだけかというと、いろんな番組の再放送も多かったし、アニメーション以外でもドリフだひょうきん族だ、随分TV漬けだったのか、、、凸凹大学校の江藤さんの絵はほんとにおかしかった。夏目雅子出演の西遊記、熱中時代、トミーと松、、、

アニメーションに絞ってガンダム以外なら、宇宙戦艦ヤマトなども、再放送や映画で散々楽しんで居たし、話もよく覚えていますが、これは初回放送が1974年でやっぱり、自分より5、6歳上の方々が、上に書いた調子で楽しんだのだろうと思いますがどうなんでしょう。それでも子供心に沖田艦長は威厳があって怖かった。エヴァンゲリオンのシンジ君を見ると、いや、お父さんはゲンドウさんでもいいですが、なんにせよぜひ沖田艦長の下で働いてと思ってしまいます。理想の上司は沖田艦長ですよ、誰がなんといっても。(ガンダムでいうなら、ランバ・ラルが理想の上司。*6

銀河鉄道999も相当流行っていましたし、好きな作品ですが、TV版はストーリーに一貫性がないから、いまとなっては凄い断片的な記憶にとどまるのか、、、でも映画版のあのクォリティーはやっぱりびっくりしたものです。

ドラえもんのび太の恐竜が、、、これは1980年公開なんですね。これも相当話題になったものです。

未来少年コナン Blu-rayボックス の商品写真  未来少年コナン Blu-rayボックス
監督: 宮崎駿 出演: 小原乃梨子, 信沢三恵子, 青木和代ほか
バンダイビジュアル

未来少年コナンは、放送当時小学校低学年で、その後も再放送を見ずに過ごしたので記憶に乏しいのですが、やっぱり格別な印象としてのこっています。自分達の未来は、あんな風に、ぽつんとした島になるのか、、、なんて、子供だから恐怖感といったらまた大袈裟ですけど、なんにせよ印象的でした。ザ・デイ・アフターなんて核戦争の恐怖を描くアメリカの実写映画が話題になったのもこの頃かな。「核戦争で世界が廃墟に」ってもっとリアルな現実だったような。でも、子供だから、怖いけど気にもしないってのが、微妙なところです。核戦争ちょーこえーよ、見たーと話しながら、ザリガニ釣ってました。

コナンは、ガンダムと同様で、話題になった人気が出たというだけでなく、「名作」って感じです。ストーリーは、わたしも全然覚えてないのですが、各人物の声は勿論、青々とした海原、すっかりと晴れた空、水中で頑張るコナンの感じた息苦しさなど、そういったことはなまめかしく思い出されます。その体感的なものが、ストーリーもあまりわからない子どもの記憶に残る・・・さすが宮粼さんの仕事ということなのでしょう。

カリオストロの城のTV放送もこの頃でしょうか?ルパン人気も大層なもので、これも話題でした。まぁ、切りがないものです。

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ガンダム30thアニバーサリーコレクション 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 [2010年7月23日までの期間限定生産] [DVD] の商品写真  ガンダム30thアニバーサリーコレクション 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 [2010年7月23日までの期間限定生産] [DVD]
監督: 富野由悠季 出演: 古谷 徹, 池田秀一ほか
販売元: バンダイビジュアル

ガンダム再放送の最終回、丁度ビデオが復旧し出した頃でしょうか?わたしの家にはなかったのですが、すぐそこの祖父母の家にあったので撮ってもらって何度も見ました。ビデオがない頃は、カセットテープで音だけとって、それでも随分楽しめたものです。翌日の学校で、クラスの男子は、シャアは死んだのか、死んでないのかの議論。「シャアは死んでないんだよね?」ってお互い確かめたくても、答えがないから、ひたすら出口のない話だったものでした。*7

・・・ガンダムについて、私の思い出話はこんなところですが、当時中学生だった世代、もっと上の世代の方ですと、また違う話になるかと思います。

*1:2016年某日注: だから私は1978年放送の未来少年コナンは、楽しみでしっかりみていて、名作だと思うのですけれど、断片的なシーン以外まったく覚えていなかった。いつぞや見直してほんとに傑作とびっくりしたくらいです。ハイジ、ヤマト、コナンなど見て行くと、その延長線上に「俺だってできる」とやってみたのが、ガンダムだという気がしますね。だから、オリジナルというより、応用・洗練された作品だと。ガンダムTV版の前半なんて、宇宙船の中でのハイジです。
意外に過去の作品の虜になっているもので、ぜひ幼少時から思春期頃までの作品は見直してみること、おすすめです。かなり作品の印象が変わることもあります。知らず抱えている、自分の前提から自由になれるかも。

*2:筋消し - キン肉マン消しゴム - はその後で、少年はジャンプ、ませたインドア系な少数派の子どもは高橋留美子で大人の性生活を垣間み、そしてなによりも当時単行本かもはじまった漫画版のナウシカに驚嘆の眼をみはっておりました。

ワイド判 風の谷のナウシカ 全7巻函入りセット 「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版) の商品写真  ワイド判 風の谷のナウシカ 全7巻函入りセット 「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版)
著作: 宮崎駿
出版社: 徳間書店

ブラックジャックなんかもませたインドア系は小学生の時点で読んでます。

*3:ツクダオリジナルのテーブルテニスを持ってる子供がクラスでほんの一人二人。ファミコンが普及しはじめるのは2〜3年後から。ざっくりですけど。

*4:多分、地域差も大きいでしょう。中学から都内の学校に行きましたが、こまっちゃくれていて気持ち悪かったのは確かに・・・。で、随分陰険な連中だなと思ったものです。

*5:漫画と言えば、私、『金メダルマン』が好きで、単行本を嬉々として買ったら、お店のおばさんに「坊や変わったもの好きなんだねぇ」なんてしみじみと言われたり・・・。表紙↓ごらんになっても、すごいでしょ?みなさんの為を思って、親切なわたしは画像大きめにしました。小学生向けでない妙なネタも多い怪作。

金メダルマン 第1巻 (てんとう虫コミックス) の商品写真  金メダルマン 第1巻 (てんとう虫コミックス)
著者: 勝木 一嘉
出版社: 小学館

*6:2016年某日注:でも見直すと、沖田艦長はぜんぜん怖くなくて、むしろいい人過ぎるという・・・。オリジナルのヤマトすばらしいです。上の世代がガンダムよりヤマトというのはいまはよくわかります。新しいことにチャレンジしているから、破綻があったり、ほころびを繕ったりと、よく見ると製作側のドラマまで見えてしまう大傑作。

宇宙戦艦ヤマト DVD MEMORIAL BOX の商品写真  宇宙戦艦ヤマト DVD MEMORIAL BOX
監督: 松本零士 沖田十三:納谷悟朗, 古代 進:富山 敬, 島 大介:仲村秀生, 森 雪:麻上洋子, 真田志郎:青野 武, 徳川彦左衛門&佐渡酒造:永井一郎, アナライザー:緒方賢一 デスラー:伊武雅之 ほか
販売元: バンダイ・ビジュアル

*7:いまの画質でよく見ると、角のついた人がジオンの戦艦の艦橋に見えているようです。それとも、あとで付け加えたんかな・・・?