新旧露都旅行記第五日 - サンクトペテルスブルク第二日

某月x5日

20090131201307エルミタージュ Hermitage 美術館訪問。三時間程駆足で巡る。建物と其の装飾の感心し、絵を見る余裕無し。明日再訪せん。ロシア美術館の意匠にも随分驚きたれ共、Hermitageは更に秀麗。幾ら言葉を重ぬれ共、描写に能ふまじ。是非共訪れる可き処也。

細工の妙、色の愛らしさ、華やかさ。元よりエカテリア女帝の啓蒙時代の趣味か、大火に遭い殆どを消失せる後、再建時の趣味か、説明書きからは判然とせず。心地良い物許で、呆れて笑いが出る程也。



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案内人V氏と談笑をし乍、友人の勤務先聖彼得堡支点を訪問す。四人許の小さなオフィス也。此地の手配を依頼せるJ女史を訪ぬ。甘いものなら良からんと羊羹を贈り、御礼を兼ね昼食に招きたり。聡明な女性也。

食堂に此方を見やる女在り。あれこれと皆で議論を重ね、漸く売笑婦と判る。昼間から客引きで商売になるものか。

economy lunchを注文したり。邦貨800円程でサラダ、パスタ、ピザ、パン、飲み物と分量は十二分也。女史曰く、聖彼得堡市は現大統領の故郷なるが為、就任以来資金を投じ、昔日の景観を取り戻したる由。

20090131201309J女史と別れ、スパス・ナ・クラヴィ聖堂を見学。イサク寺院、宮殿橋と巡り、ペトロハバロフスク要塞へ。吹雪と成りけれ共、存外寒くも感ぜず。終始歩き通し宿に戻りて解散す。

道中ネフスキー通りに喜々として居れば、V氏何をか左様に楽しまんと尋ぬ。ゴーゴリGogol、ドストエフスキーDostyevskyの話と相成る。

V氏此地の東洋大学の学生也。近々大阪外語大への留学を待つ身也。指導教官に先の大戦中の日露関係に詳しい人物を選び、日本では、シベリア抑留兵の手記を研究せんと言う。日露戦時の陣中日記と二次大戦時の其れを比較して、用語、感情、思想の違いを探れば如何と提案す。日露戦時は多分に記述的と予想され、V氏も関心を示す。

同君かつて自動車整備工として勤労され、徴兵の後、先述の大学に日本語を学んだ由。御尊兄合気道を習いたるを切掛けに、日本の事物に親しみ、自然己が進路を左右した由。現在19世紀後半の邦国新興宗教に就いて修士論文を成す処。しかしながら、将来は邦国の自動車会社に奉職せんとの御意向。二十代も後半の大柄な男子也。



◎写真解説:

1. 旧海軍省(文中の写真)
向こうに見える金色の建物は、旧海軍省。ホテルからのまっすぐ伸びている道の途中で撮ったものと思います。現在は、海軍学校として使われていると言っていたか、、、不正確にも覚えておりません。金色の建物に当たって右に進むと、エルミタージュ美術館があります。

2. Hermitage美術館外観(文中の写真)
下に小さく見える人の影から、その大きさが想像できましょう。これが実に奇麗な緑色でした。

3. スパス・ナ・クラヴィ聖堂(文中の写真)
これまた実にロシアな面白いデザインで、なんでまたこういうセンスなのか、面白いものですが、古くはなくて19世紀の建立。農奴解放などを実施した皇帝アレクサンドル2世が爆弾テロにあった場所に造られたもので、名前を直訳すると、地の上の教会という意味だそうです。

200901312013104. エルミタージュの向いの建物
ご覧の通り、すっごく幅が広いので全部撮りきれません!軍関係の施設の何ぞやだそうです(確か)。この淡いベージュというか、黄色がまた奇麗なのです。



200901312013125. エルミタージュ入ってすぐの玄関口
多分、金箔を張り替えてもいるのでしょうが、「うわーすげー」と普通に驚いてました。金色だー。存外西洋では、細工がいい加減と感じることもありますが、ここはそんなことなかったです。手抜きなしのお仕事と思いました。



200901312013116. エルミタージュ。上の玄関口から入ったところの大広間
展示されているのは、当時の調度品の類い。全部が全部金箔ではありませんが、凝ったつくりの部屋に装飾、絵以外の展示物が面白く、初日は絵を見ずに、「こっち行くとどこにでるんだ」なんて思いながら、ひたすら館内を歩いておりました。



200901312013137. ネフスキー大通り



200901312013148. イサク寺院
これがまた巨大なお堂です。この広場は滞在先のAstria Hotelも面して居り、イサク寺院はhotelからすぐそこにあります。時代を追って、どんどん大きく造り直していったそうで、現在の姿は19世紀に成るもの。建設にあたっては、サンクトペテルスブルグが元々湿地だったので、丸太の杭を何本も地面に打ち込んで・・・とそんな模型が中に展示してありました。



200901312013159. ネヴァ河
ペテルスブルグと言えば、ネヴァ河。ご覧の通り随分広い河。『罪と罰』を読んで勝手に想像していたイメージとは違って、大河でした。繁華街の中を走っているとも思ってましたが、そうでもないのですね。海軍省、エルミタージュの裏手を走っています。すっかり凍ってます。