観光案内 − 民芸関係で、備後屋と日本民芸館に

前回ちらっと書いた欧州の友人の観光案内で、「奥さんがCeramic Artistだから、そんなに高くないお土産を・・・」と仰有るので、

●備後屋

http://www.quasar.nu/bingoya/

●日本民芸館

http://www.mingeikan.or.jp/

を廻りました。「東京で、その手の買い物なら、ここが外人ウケするはずだ!」という友人の言葉、正解でした。

日本民芸館では、「なんだこの面妖な建物は、、、」と思って、居心地が悪かったのですが、築昭和11年と聞いて安心しました・・・柳宗悦について名前しか知らなかったので、良い機会。

二カ所廻って、自然に

  • 銘と無銘
  • 展示物と日用品

のあたりに考えが向かいます。

ひとくくりに民芸といっても、いろいろ差があるだろうし、また、自分がその対象とどう関係を結ぶかで、いろいろと変わってくるでしょうから、ややこしい話なのですが、思うままに書いてしまうと、、、

そもそも「美」なんて言葉でくくっちゃうと何か居心地の悪いことがあるな〜とか、その言葉を使った時点で、モダンだよな〜とか何とか。それに微妙に重なるのが、展示物として見ることと、日用品として生活に生きることとは、また違うよな〜と云った・・・(ヴァレリーにそんな話あったなぁぁぁ)。こう書くと、誰も考える当たり前のことです。

日用品は展示されているだけで、居心地が悪いけれど、でも、展示してないと見られないものもある。見る人が見れば、分析的に見て面白いものもあるのだろう。理想的には、生活の中に残っているべきだけど、旧家でもなければそんなの物は、かろうじてでも残っていない・・・とか何とか。何にせよ、博物館を見て、「ちょっとそういうテイストを生活に!」といったふぁっしょなぶるな発想は、およそ違うような。。。

あのいい加減な大津絵を見ていて、結局、こんなつまんない絵が、かなり想像を刺激して、濃厚な時間を作る事もあったのかも、、、または、当時もありふれていたもので、「また馬鹿な物買って〜」となったのかも、、、とか何とか。なんであれ、色やパターンだけ見て、「ちょっといいねっ」っと小奇麗に飾るというのは、なんか違う様な、、、

そもそも「個性」や「美」などを、考慮せずして作る・・・というのは、結構、根本的に影響するだろーなーとか、そんなことも考えさせられます。*1

こんなことで、「ややこしいな〜」とゆるゆる考えた挙げ句、ご本人何か仰っていたかな・・・と思って、つらつら見てみたら、

http://www.mingeikan.or.jp/html/yanagi-soetsu-essay.html

というエッセイが、民芸館のwebsiteにあり。「難しいところなのです」と適切に示された短文。思うに、あまりややこしく言葉で考えるのは、結構弊害があって(言葉だけの争いに陥るので)、そんなのは適当なところでやめにして、興味が有れば、実際にいろいろ具体的にものに当たるのがいいのだと、つくづく思います。*2

著書が手に入り易いようで、上のエッセイが入っているか存じ上げませんが、一応挙げておきます。

民藝とは何か (講談社学術文庫) の商品写真  民藝とは何か (講談社学術文庫)
著者: 柳 宗悦
出版社: 講談社

手仕事の日本 (岩波文庫) の商品写真  手仕事の日本 (岩波文庫)
著者: 柳 宗悦
出版社: 岩波書店

*3

・・・そんなことを考えている内に一番気になって来たのが、かつての民芸の経済事情ってどんなだったんだろう。本業、副業のどっちの生産体系なのか、流通はどうだったのか、どのクラスの人が使っていたのか、幾らぐらいだったのか、、、というところ。結構、そっちから考える方が、見えてくる物が多そうです。これまた、どの品を扱うかで、千差万別になりそうなことですが、、、

思うに、今時は、「これが一番いい!」という噂を丸呑みして、そこにわーーっと人が集まって、なんだか判んないけれど、それに従っているうちに、すぐ飽きて、また違う「これがいい!」に、わーーーーーっと集まるという形が多そうです。しかしながら、ほんとはもうちょっと身近に、じっくり話の出来る“ちょっとした名人”を抱えておいて、そっから体験を進めて、各自考えるとでも云ったインナーサークル的な行いが大事な様な、、、また、私の頭を超える問題なので、ここら辺で止めておきます・・・

話すっかり変わる様ですが、小説家のカフカの作品でさえ、チェコプラハでわざわざ閑職を選んで、創作の時間を確保した男が、たかだ数名のお友達に語ったものだ・・・と考えると、ちょっと不思議なものです。噂に惑わされると、「誰が一番なの?」に左右されてしまうのではないか、、、しかし、中身を吟味して自分でなにか考えたり動いたりするなら、「これが一番!」的思考に陥らずに済む様、、、そんな気がします。

・・・ぐだぐだな内容になりました。

*****

その後は、丸の内の丸善で、英語で日本の焼き物を紹介した本はないかな〜と探し物。

移動中やら、お茶やらの間には、

「給料を全額使い切る生活って信じられるか?」

「常識的には、(オーストリアでは)考えられない・・・」

なんて話をしたり。これ欧州の友人にはよく感じることですが、みんな普段は安いもの来て、安いところであって話してと、ほんとにつましくしているな〜と。これは居る、これは要らないってことの長期的計算がしっかりしているな〜と。

他に、散々歩いてみて来たここ数年でボコボコ建てられた新しい建物が、いつまでもつのかね〜とか、彼と仕事をしていた頃の話と最近の景気のことで、「やはり、ほんとうの基幹産業はこういう時、強いよな〜」とか何とか。

そうそう、パレスホテル改築されるそうです。あそこもすっかり古くなったと云えば古くなったのですが、独特の雰囲気があったので、普通の高級宿に変わらなければ良いけれど。。。

・・・と、もっとぐだぐだになったところで、ではまた!

*1:ブログだって、ぶくま狙いで書いている物とそうでないものは違うし、結局のところ、「私を知って欲しい」と思って書いているかどうかでも、これまた違う。日によっても違うし、はっきり白黒つけられないものであっても。

*2:なんとなく、「健康美」や「生活力」という言葉にも、猥雑さやアホさ加減が抜けきっている感じがしますが、、、

*3:後日注:
この後、この関連のものいろいろ読みましたが、一つ挙げるならこちら。実に面白かった。

無盡蔵 (講談社文芸文庫) の商品写真  無盡蔵 (講談社文芸文庫)
著者: 濱田 庄司
出版社: 講談社

いわゆる目利きがいかに現物の製作現場を知らず勝手な推論をするか、という話があって、これは書物でも一緒ですね。いまと違って、現地での状況を確認しにくい、ほとんどできないと言って良い状態だったので、輸入した書物を自分の都合に勝手に解釈して、一派を作り上げる。止むを得ないことえもあるけれど、いまの時代にそういう悪癖だけ残してもよろしくない。