いやはや、また年甲斐もなく感動してしまった − グレンラガンの終幕の主人公とヒロインに

天元突破グレンラガン1 (通常版) [DVD] の商品写真  いやーまた大人げなくはまってしまいました。年末年始のグレンラガン再放送。四月の映画第二作の宣伝を兼ねての放送でしたが、見事にノセられました。でもってTV放送は途中まででしたが、映画を待てずに、最後まで。

天元突破グレンラガン1 (通常版) [DVD]
監督: 今石洋之 出演: 柿原徹也, 小西克幸, 井上麻里奈, 福井裕佳梨
販売元: アニプレックス

いや、なにを言っても子供向けの作品だし(中高生向けを意識との事)、胸はゆれる、意味なく半裸、あからさまなご都合主義、懐かしの熱血路線、そこでしまいにゃ特攻精神か?等々、なにはともあれ様々なパターンの焼き直しだなんだと、いろいろ言う人もあるでしょう。

私は、そこら辺もぜんぶひっくるめて、ちゃんと作っているなぁとすっかり感心。子供向けなんて思わせながら、終盤の展開は、勤め人の方が、ぐっとくるものかも。

こういうものは、、、フィクション全般の話でもあるでしょうが、具体的な知恵だの何だのはなんにもなしに、ひたすら方向性・やる気・夢・熱意等々を提示するってもの。この作品は、そこを過剰に過剰を重ねるようにやっていて、途中から見ると、「なんだこの騒ぎは?」ノリ切れないかも知れませんが、第一話から見ると、「そうそう、これ!」と納得のスタイルになります。

それぞれのキャラクターは、いい感じにさっぱりとした性格。ちょっと乱暴と思う方もあるかも知れませんが、私には、今風とも古風とも言える爽やかさで収まってます。

エモーションを掴むというところは、実にうまいもんだなーと。作中人物のエモーションも、なんというか作品全体のエモーションも。実際、製作者はそこをきちんと意識したとのことです。

そもそも、この『天元突破グレンラガン』、以前ちらっと見て、興味は持っておりました。そのきっかけはセリフ。脚本家の中島かずきさんという方は、普段は書籍の編集者、私生活の本業が舞台の脚本家だそうです。それなら、あーゆーリズム、語彙も不思議でないと納得。←なぜ?と聞かれると、困ったりっ

感想を精密に書くのは私の趣味でなくて、そういうことはフィクション好きな連中と飲み会でうだうだ話す方が楽しいと考えております。だって、書いても書き足りないし、妙な方程式だのパターンだのを出してその精緻化を図る議論するのってなんかねーーー。。。大概、場面場面をひたすらあーだこーだという話になる愚物な私には理論化はそれほど興味がないところ。そんなことで、私が駄文を連ねるよりも、製作者のインタビュー記事が出ておりまして、こちらを読む方が良い!

http://www.style.fm/as/13_special/mini_080104a.shtml

これが「そうだよね、そうだよね」という内容で、細々実に感心しました。

ヴィジョンの共有、働き手の特性の把握と適材適所の配置、プロフェッショナルとしての知識&技術、えいやっの割り切りもあれば、最後の瞬間でのコンセプトからの手直し等々・・・うらやましいとも思えるチームワークがあるような。「あの場面、女の人が書いていたんだ・・・」などなどさまざまに納得することがありました。

しかし、定番なり、方程式をふんではいるものの、どっかにリアリティとか、真実性とか、熱気といったものがある。インタビューを読めば、やっぱりそれって製作者の熱中なり、狙ってもでてこないアイディア(勘の良さ)、からでてくるのかなぁ・・・などと、これまた今更ながら。

全体的な密度というか色合いというか、そうなんとも言い難い総合的なものをうまくコントロール&非コントロールしているんですなー。これは、子供向けどうこうであろうと、そういう「全体を掴む時の勘の良さ」って感じがあるものって好きです。←勿論、私がそう感じたものだけが、それをやっているということではありません!

上のリンク先のインタビューは、私に取っては往年の映画監督の本やインタビュー同様に面白いものでしたが、共同製作であるが故に、日頃お互いの意思疎通をはからないといけないから言語化がすすんでいるのかな?と思いました。存外、小説家のような単独制作者って、製作過程について面白い言葉がない、と思っているのですが、どんなもんでしょう?*1

パターン化しすぎると、単に繰り返すだけの墓穴がまっている。制作者にとっても、見ている側にもそう。でもそういう理解や把握の仕方がないとダメ。とは言っても、「君のその髪型、実に○○パターンでいいよ」って女の子誉めたら馬鹿だ。難しいことなんで、ここらで止めます。

*****

以降、ちょっとネタばれ含みますので、段を分けて。

視聴には問題ない程度です。

天元突破グレンラガン9 最終巻 (通常版) [DVD] の商品写真  天元突破グレンラガン9 最終巻 (通常版) [DVD]
監督: 今石洋之 出演: 柿原徹也, 小西克幸, 井上麻里奈, 福井裕佳梨
販売元: アニプレックス

メロドラマいまだに好きなんです。メロドラマってなに?っていまさら考えるとややこしい。。。

純情可憐でぽやーんとしているけれど芯の強いお姫様を救い出すという定番と言えば定番の展開。でも、最後に、主人公とヒロインが「愛してる」とお互いに初めて胸の内を語るところ、ここのところが実に生きていたと思います。その前に、二人は心を打ち明けていたけれど、はっきりその言葉で示されたのはあそこだけ。

子供向けだと馬鹿にするもんですが、いざ子供向けで自分がなにか作ると考えて、救出劇の後の「愛している」という言葉、この何度も何度もどんな劇でも繰り返された言葉を、あんなに切なくさせるのは難しいこと。勿論、ここが生きるには、その前にもろもろがしっかりしていないとダメで、それを逐一挙げるのは避けますが・・・

この場面は何度も見てしまいました。ヒロインはニアという名前のお姫様ですが、このお姫様は、物語にでてきた最初から心優しいお姫様でしたが、最後の場面は輪をかけて、すごく優しくて柔らかくて、こちらも見ていて、伯父さんにでもなったかの様に、「良かったね、良かったね」と。

この作品の女性キャラクターは、もう一人のヒロインであるヨーコさんだって、今風に強い女性であると共に、すごく古風でもあって、男の子向けの作品だろうから、男のご都合主義でもありましょうが、女の人から見るとどうなんでしょう。まー、人によって、感想は千差万別かな。

この四月にストーリのクライマックス〜終盤を扱う映画版第二作完結編があるそうですが、この最後の場面、「愛しているわ、シモン、、」「ああ、俺もだ、、、愛してる、、」の件 − 言葉に書くと、なんか涙腺がゆるむぞ!!− 最後のシモンの言葉には、「ああ、俺もだ、ニア、、、、ニア、、愛してる」と、名前を入れて呼びかけてくれれば。。。と、こういうものは、感覚的なものですが、そんなことを思いました。名前を呼ぶのは、大事な行為で、最後はやっぱり名前を呼びかけて上げて欲しいな、と。

*1:勿論、共同作業ならよくなるものでもなくて、敢えてディスコミュニケーションを図って、自分を居場所を確保するなんてやり方が、世間的には往々に幅を占めていたり・・・