文藝春秋 2009年 01月号の美点を二つ

不景気の時期は生活を見直す良い機会でございます。ほんとうに不況の煽りを受けている場合は、その余裕もないのがなんでありますが、、、

この10年ほどの主流の言説がいかに馬鹿げていたのか、、、から類推して、「ここは一つ!」と、古典の書籍なり、クラシックなり、最近挙げている能だ、文楽だにも眼を向けてくださいませ。クラシックなんて、好きになると同じ一枚を何十回と聞いて尚新しく感じるもので、経済的にも安上がり???

この一年新刊はいっさいお金を払わず、ひたすら

大辞林 第三版 大型本 の商品写真  大辞林 第三版 大型本
編: 松村 明
販売元: 三省堂

読むなんていうことも面白い試みかと思います。存外日本語のことを知らないとよく判るもの。*1

さてさて、本日はタイトル通りで、

文藝春秋 2009年 01月号 [雑誌] の商品写真  文藝春秋 2009年 01月号 [雑誌]
出版社: 文藝春秋

の美点を二つほど。二つの記事が特に私には面白かったなと

1. 麻生総理の器を問う

で、四名ほどが所見を述べて居りますが、タイトルは扇情的ですが、内容は「誰がやっても難しい時期だし、こうすればいいのでは?」という助言と言えましょうか。

この中で読売の渡邉恒雄氏の内容がなかなか良かった。私は、日頃この人物に批判的でしたが、ここに書いてあることは好感を持ちました。保守派の合同というのが、キャスティングボード政治を排する・・・この建前が本音かどうかという疑念はそりゃあるものの、建前そのまんまで行けば良いものと思います。*2

後、竹中某のトンデモ話もぽろっともらしていて、これがいかにもひどい話。その真偽のほどは、こちらはまったく与り知らぬところですが、一読されるべきでしょう。

2.岩井克人 基軸通貨ドルの退位する日

これもまた扇情的なタイトルで、これは雑誌側がつけたものでしょうけれど、内容を判断するにはミスリーディング。エッセイ全体としては、昨今の金融破綻の原因を判り易く、単簡に説いたもの。

岩井さんの不均衡動学をイメージ的に言葉で説明しながら、恐慌時の信用崩壊の一般的な理屈を提示。

先日までの過剰な信用創造の実態が数字と共にぱぱっと書いてあって、勿論、わたしはその数字がどういう信憑性のものかわかりませんが、非常にクリアでした。

昨今の経済学的な問題を生んだのがフリードマン系のシカゴ学派だとこういった一般紙にはっきり書いてあるところもまた良いのでしょう。*3 基軸通貨ドルの行方については、王様AからBに交代ですではなく、もっとなしくずしなのですが、なかなか説得力あり。

一次資料をあたらない一般読者は、何事も半分疑いつつ、半分信用しつつでうまく切り抜けるしかありません。←非常に重要なことかと

書店に必ずあるでしょうから、ぜひ書見してくださいませ。上の二つ足しても20頁にもならない量です。



いじょう



せるげー拝



p.s.:まったく余計なことですが、旦那の頭はまだクリアなんだから、嫁さんの暴走止めろよ、、、と。
岩井さんの話って、究極の事態にならないと当てはまらないけれど、それを数値的に「これ以上は危険だよ」「被害はこんなもんだよ」と予測する方向に向かわなかったから、終末論地味て聞こえちゃったんだよなーと思いました。
上の岩井氏のエッセイに興味をもったら、手始めにhttp://d.hatena.ne.jp/sergejO/20081205/1228456361の書籍からどうぞ。

*1:三島由紀夫が辞書を何度か読んだとか、そこはすごい。素直に敬服致します。
そうそう、辞書なら広辞苑ということもない!!他の辞書を検討する、他の辞書も持っていると良かったりします。

*2:しかし、最近はなんでこの人がこういうか、なにがどうなっているのか、なかなかどうして、実に、、、

*3:経済学者の話を聞く前に、1)いつ頃 2)どの国のどの学校で 3)何を習ったか に注意しておくと面白いです。