批評について:ほめごろしなのか、本気なのか・・・なんにせよ、自分の感じたことを大切に!

http://www.artespublishing.com/blog/2008/11/13-231

これ大変面白い内容で、片山杜秀さんすごいこと言ってるなー、と苦笑

  • 吉田、加藤、川本のお三方は、批評家オレオレ詐欺(「オレだよ、オレ、これ書いてるのオレ!」)、はたまた内容物偽造(「○○和牛です。」・「京都産××です。」)ないしは誇張表示(「魚沼産コシヒカリ100%」)ですよね!
  • 私もそれに習おうと日々努力しているのです!!このたびは、賞を頂きまして、ありがとうございました!

うがって読み過ぎですかしら。

誉め殺しなのか、なんなのか。小学校から暁星で、大学に慶応・・・まじで天然の可能性もぬぐえず、、、神保町通いの習慣にうっすらと高岡書店が薫りそう・・・本業の思想史で二次資料からマーフィーの法則を大量生産していなければ実質さしたる問題もなしというところでしょうか、、、影響を受けたお三方と芸風が違うから、やっぱり誉め殺し???←とすると大胆すぎるけど、ぎょーせーらしいかも、、、

しかし、http://www.artespublishing.com/blog/2008/11/10-228 の、

パーティーの最後に吉田さんがスピーチをされました。「批評っていうのは、音楽を聴いてどんなに正しいことを書くかじゃない。その人が何者かであって、なにかを書いた──そういうことなんだ。片山さんはそういう人だということです」という・・・

こちらも功罪相半ばでしょう・・・

昨年かもっと前だったか、TV番組で吉田秀和が、亡くなって20年は経った人物を思い出しながら、「彼に何それを教えたのはボク」「彼は判ってなかったな〜」などと、語っていたのには少しく驚きました。番組の編集のせいで、悪い印象になっただけなら良いのですが。。。*1

*****

別に批評家が居てはいけないというつもりは毛頭なく、ただ、カタログ的な使い方に限定すべきと常々思う処。音楽だったら、

 誰のどの曲のどの録音がいい(と思っているよ!)

までを参考にして、それ以上はほうっておく。その録音のどの部分が、、、まで行くと、一気に信憑性があやしくなるような、、、*2

とりあえず他人が言うおすすめに沿ってみるのは、別に構わないと思います。

ただ、それを聴いて自分が楽しいと思っているのか、満足しているのか、心地良い、ないしは悪いはどこに対して感じているのか、、、が何となくでも判っているはずで、それさえ大事にしておけば、自然、誰か一人を頼りになどせずに、意見を求める先を色々と替えてみたり、それこそ、自力で探すこともできようかなと。

あと、製作者で批評も上手い人がいます。そういう人のは参考にするとなにかとよいものかと。世間に発表してなくても実作している人の批評はちょっと違う。

音楽に限らず、批評の傑作として、(私の趣味に基づいて)おすすめするのは、

文学で

プルースト評論選〈1〉文学篇 (ちくま文庫) の商品写真  プルースト評論選〈1〉文学篇 (ちくま文庫)
著者: マルセル・プルースト
出版社: 筑摩書房

映画で

ゴダール全評論・全発言3 (リュミエール叢書)  の商品写真  ゴダール全評論・全発言3 (リュミエール叢書)
84年からの15年間のジャン=リュック・ゴダール評論・発言集成
出版社: 筑摩書房

このゴダールの第三巻は文明論も多く、飲み屋で誰かがいい具合に文句を言っている体で、入り易いです。

音楽で

シュナーベル: わが生涯と音楽 (1974年) の商品写真  シュナーベル: わが生涯と音楽 (1974年)
著者: アルトゥール・シュナーベル
出版社: 白水社

ディヌ・リパッティ 伝説のピアニスト夭逝の生涯と音楽 の商品写真  ディヌ・リパッティ 伝説のピアニスト夭逝の生涯と音楽
著者: 畠山 陸雄
出版社: ショパン

絵画で

クレーの日記 (1961年)  の商品写真  クレーの日記 (1961年)
画家パウル・クレーの内省・思索をつむいだ日記。
出版社: 筑摩書房

個性的な文章ですが、奇を衒うことなく、正直に書いている。それでも、自然にその書き手への興味が増したり、何者であるかが伝わってくる。上に挙げたのは、そういった類いの批評と思います。どれも専門の批評家でなく、実制作者の批評文でありますが。

アニメーション監督にもいいものがあります。

ラジオのロック音楽番組などによく出演される渋谷陽一氏による宮崎駿インタビュー。渋谷氏の爺転がし振りに癖があると敬遠するなかれ。宮粼氏の無意識のところをしつこくうまくほじくり返しています。

風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡 (文春ジブリ文庫) の商品写真  風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡 (文春ジブリ文庫)
宮崎駿ロングインタビュー集第一弾
出版社: 文藝春秋

エヴァンゲリオン庵野氏ですが、これほんとか嘘か知らないけれど、面白い話が多いです。全部監督の頭から出て来たものと思ってしまうけれど、細部はそうでもない。でも、方向付けはやはり監督なのか、とかなんとか考えさせられます。

庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン の商品写真  庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン
新世紀エヴァンゲリオン』を読み解くための基本文献。庵野秀明監督への超ロング・インタビュー、制作スタッフたちによる未発表「庵野秀明“欠席裁判”座談会」前編を含む第一集。
出版社: 太田出版

細部までこだわれる監督だからこそ、細部にいいアイディアを出すスタッフを集められた、ということはありますよね。

*1:シューマンの批評は全訳でないんかしら。

*2:理論化がまたすごくなるほど、どーもいままであまり良い経験がなく・・・