では、第五夜。これは会社のお友達の体験談。中国留学中のことだそうです。今から数えると、10年くらい前のことかな。その子は実に横顔のいいお嬢さんで、「あんた、ほんと横顔奇麗だよね」と言ったら、「横だけですか」と怒られました。
さて、さてさてさて、、、
「学校の寮だったんですけど、まーそこは結構噂のあるところで」
「そーゆーとこあるよねー」
「それで電話が管理人室にしかついてないから、電話があると『何号室さんお電話です〜』って呼び出しが掛かるんですよ」
「うん」
「で、ある晩、他の日本人の留学生の子と三人で集まって話してたら、そんな呼び出しがあって、誰かが歩いて行く足音がしてですね。」
「はい」
「ふと、気づいたら、そんな部屋番号は無いんですよ。みんなで『何あれ?』『足音もしたよねー』って」
「どういうこと?」
「部屋が例えば710号室までしかないのに、『740号さん、お電話です』ってことです。翌日、他の部屋の人たちも『聞いた?聞いた?』って盛り上がってました」
「その時、誰も廊下を見て、足音たてた人見なかったんだよね。」
「いや〜、いつものことだと思いましたから。でも管理人は19:00で上がるのに、もうその時は、19:00大分まわっていて変だったんですけど、部屋番号がおかしいことにすぐ気づかなかったから、、、」
「他に足音聴いた人が居るかいないか詰めると、なんかわかりそうな、、、そんなこともないか」
「そこまではしないですよ、ふつ〜。でも、『ドア開けて、すぐ見れば良かったねー』って言ってました。」
「う〜ん」
・・・ということで、いたずらでも十分可能なことだと思われる。
面白いのは、怖がらせるよりはちょっといたずらっぽいこと、そして、
「スピーカから音したんでしょう?」
「えぇ、いつも通り。」
部屋か廊下のスピーカから呼び出しの声が聞こえたらしいけれど、、、
「真面目に考えると、じゃー化け物が管理人室に入って、マイクオンしてしゃべったのかねー」
「知りませんよ、そんなの〜」
*****
「もう一つあって、開かずの間みたいな部屋があったんですよ。そこだけはみんな嫌がって出てっちゃうという部屋で」
「へー、ほんとにあるんだねー」
「そこの机とかベットとか動かすとよくないって話だったんです。でも、勇気のあるどっかの地方から来た人がそこに入って机を動かしたらしいんですよ。したら、いきなり突風が巻き起こって火がでたってボヤ騒ぎ。」
「みたの?」
「見に行きました。紙だ本だ、洋服だが、よくこんなにってくらい散らばってて、机やベットも動いちゃってて、ほんとに突風でも起きたみたいで、確かに一部焦げてました。」
「自作自演とか?」
「いや、そう言ってしまえば、できないことはないですけど、本人はおろおろしてるし、実際、あの状況見るとねー。結構、すごかったですよ。」
「怖いなーとか思う、、、のかなーーー」
「いえ、他所の部屋のことですし♪」
確かに。
後日注:
この後、実体験をひとつふたつ書く予定でしたが、家の間取りを詳細に解説しないと判り難く、図を書くのも面倒だしいかんせん・・・と考えているうちに本連載物は立ち消えになりました。
それがほんとうに不思議なことなのか、錯覚の類いなのか。
さて、怪談と言えば、山岸凉子先生ですね!
山岸先生の怪談話は、スペシャルセレクションですと、あちこちの巻にちらばって収録されているので、まとめて読みたいときは下の二冊の方が便利です。
収録作品詳細も書いておきましょう。ゆうれい談 (MF文庫)
著者: 山岸 凉子
出版社: メディアファクトリー
収録作品(初出年):ゆうれい談(1973) / 読者からのゆうれい談(1983) / ゆうれいタクシー(1993) / 蓮の糸(1993) / タイムスリップ(1993)ゆうれい談 (あすかコミックス・スペシャル―山岸凉子全集 第17巻)
著者: 山岸 凉子
出版社: 角川書店
収録作品(初出年):ゆうれい談(1973) / 読者からのゆうれい談(1983) / あやかしの館(1981) / 汐の声(1982) / 対談・山岸凉子の幽霊譚(1982)『ゆうれい談』と『読者からのゆうれい談』が重複していますが、この二話足すと一冊のうちの半分の量になるので、どちらも手に入れるのは勿体ない かどうかと悩むところです・・・
前者MF文庫の収録作品は、基本的には山岸さんの体験記。実体験でない見聞・本にあった小話も部分的にはありますが、殆どは山岸さんとその身近な方の体験記。
一方、後者所収の『あやかしの館』・『汐の声』は漫画作品・フィクション作品。なので、実話系ゆうれい譚を優先するなら、前者のMF文庫がおすすめになります。
・・・と綺麗に収まればいいけれどそうでもない!
後者あすかコミックスの『あやかしの館』は体裁はフィクションですが、出て来る怪奇現象は、すべて山岸さんの実体験そのままとのこと。また、その末尾に12ページの分量がある『対談・山岸凉子の幽霊譚』がまた面白い。ご家族の体験談もふんだんにでてきます。これは他に収録されてないはずで、その意味でも貴重です。
こうなるとどちらか一方に絞るのはやはり難しくなります・・・うーん
愚見と致しましては、・古書が安くて価格が気にならないなら、どちらも
・まずは片一方からとするなら、MF文庫から手に入れるというところです。
いずれにせよ、山岸先生のくわいだんは、ひとを怖がらせるためのものというより、その不思議さに興味が惹かれて・・・となっているがいいと思います。
無闇と怖がらずにお付き合いする・・・これはゆうれいだなんだでなく、なにごとに置いても大事な姿勢ではないか、と自分で書きながら気付いたり
では